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森健一の「創造力を磨く7か条」

■第8回■ 番外編1
なぜアメリカの大学に資金を出すのか

【2006.10.10】


写真 なぜアメリカの大学に資金を出すのか
最近、日本の企業は研究寄付金を日本の大学ではなくアメリカに出すことが多い。これを問題視する議論も聞かれる。しかしこれは、日本の大学よりアメリカの大学が優れているという単純な事情だけではない。日本とアメリカの税制の違いによって、アメリカの大学に資金を出しやすくしていることはあまり知られていない。

企業が1億円の寄付金(ドネーション)を研究資金として大学の特定の先生に出すとする。
アメリカの場合は、寄付金の2倍の2億円が経費・損金として認められる。仮に企業利益に税金が40%掛かるとすると、2億円の40%である8,000万円が戻ってくることになる。差し引きすると、1億円の研究資金は、実際には2,000万円を企業が負担すればよいことになる。

これに対して、日本の場合、大学ではなく特定の先生に1億円を出すと、これは寄付金とは認められず、交際費と見なされるおそれがある。寄付金か交際費かの判断は税務署が行う。企業は研究寄付金だと理解しても、税務署は交際費だと判断することがある。当然、企業としては「脱税」などと騒がれるおそれのあることは極力避ける。
交際費は42%の税金が課せられる。単純に計算すると企業は1億4,200万円用意しておかなければ1億円の研究寄付を行うことができないことになる。
これだけを見ても明らかにアメリカの大学に研究寄付する方が効率がよい。

大学が受け取る研究寄付金は無税であるが、企業は税金を払っている。
この仕組みは「寄付」(ドネーション)に対する日本とアメリカとの社会的な考え方の差であるが、研究開発がグローバル化するなかで考えるべき課題である。

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